「守」から「破」へ
ジムに着くと、あの男がいた。
あの男とは・・・。
一番ミットを持ってほしくない男。
ミットを持ちながらふざける男。
その、あの男である。
嫌な予感がしながら、
不吉な予感を感じながら、
サンドバッグを蹴っていると、
やはり、・・・である。
そして、やはり、・・・であった。
こうなることぐらいは、見えていたので、最初からミットではなく、スパーリングのつもりで、リングに立った。
構えられた通りに蹴る合間に、前蹴り、右ミドルやヒザ蹴りいれて、
スパーリングさながら、考えながらやってみた。
少しは、マシな練習になったとは思ったが、
それにも、限界がある。
まぁ、不完全燃焼なミットだった。
しかし、自分で、組み立てを考えながら、ミットを蹴っていく。
実戦を想定しながら蹴っていくということは、決して、間違った方向性ではないと感じた。
それが、収穫。
トレーナーに教わったことを覚えて、実践する、武道でいう「守」の段階を越え、
トレーナーに教わったことをより深めて、自分のスタイルを確立していく「破」の段階に入っていく頃合いだろうか。
そして、もうひとつ。
久しぶりに、タイ人トレーナーと、生スネ・マススパーリングをした。
しかし、怖いのと、痛いのとが先立ち、それが強力なプレッシャーと化し、
そのため、腰が引けて、コーナーに詰まりっぱなしだった。
蹴りが当たっても、腰が引けているので、当たりが浅く、押し込みも足りない。
当然、ダメージも与えられない。
それどころか、ヒジでブロックされたり、蹴り足をつかまれたり・・・
瞬間、瞬間では、前蹴りやミドルキックを使って対応できているように感じることもあるが、
結局、腰が引けてるから、すぐに、コーナーに詰まってしまう。
攻撃に、相手を下がらせるだけプレッシャーがない。
逆に、プレッシャーに押しつぶされて、下がってしまっている。
これでは、闘えないと反省。
相手が、どんなに強かろうが、せめて、前に前にプレッシャーをかけるて闘えるようにありたい。
それが、今後の一番の課題だ感じた。
そして、それが、できたときに、本当に「己に勝つ」ことになるのだろうとも思った。