不思議???


昨夜の日本シリーズでの落合監督の采配に、ちまたでは、賛否両論飛び出して、盛り上がっているという。
確かに、あと1インニング。あと3人で、パーフェクトゲームだったのだけれども。。。


ただ、一つ疑問に思うのは、山井投手と岩瀬投手2人で達成したパーフェクトゲームを、なぜ、マスコミは、そして、世間は、1人で達成したのと同じ快挙として捉えられないのだろうか?


完全試合を見たかった」という意見もあるが、
1人で投げきろうが、2人で抑えようが、パーフェクトゲームには変わりないのではないか?
27人のバッターを、1人もランナーを出さずに、打ちとって、試合を終わらせた。
厳然たる事実として、パーフェクトゲームを見たではないか?


それとも、山井投手一人で達成したほうが、価値があるものなのだろうか?
2人で達成すると、そんなに価値が落ちるものだろうか?
やったことは、同じなのに・・・


今までの達成回数から言えば、圧倒的に継投によるパーフェクトゲームのほうが少ないだろう。
それだけで考えれば、継投のほうが、希少価値は高いはずだ。


また、継投の難しさを考えればなおさらだ。
出てくるピッチャーが、誰一人悪くても達成できない。
それに、人の偉業を引き継ぐプレッシャーは、想像を絶するものだろう。
その点については、岩瀬投手も、そのあたりの重圧を語っている。


また、監督だって、完璧に投げてきた投手を代えるというのは、度胸がいるものだ。
次に、投げるピッチャーが、自分たちの流れを変えてしまうかもしれないし、
試合をぶち壊すかもしれない。
そして、それが原因で、このシリーズ負けるかもしれない。
そうなれば、1年の戦いをぶち壊すことにもなりかねない。
野球とは、スポーツとは、勝負とは、それほどセンシティブなものだと思う。
よほど、岩瀬投手を信頼できないとできない決断だ。


同じ負けなら、あのまま、山井投手に投げさせて負けたほうが、言い訳がつくし、どれだけ楽だか・・・。


でも、落合監督は決断をした。
そこには、山井投手のスタミナ、マメとかいった事情もあったかもしれない。
それも考え合わせて、勝つために、最善と信じる手段を選択した。
落合監督は、さぞ胃が痛かったに違いない、と想像する。


そう考えたら、パーフェクトという記録、
そして、それを達成した、山井投手、岩瀬投手、落合監督は、もっと賞賛されてしかるべきではないかと思う。


ひとりのスーパースターが打ち立てた記録より、何人かが協力して、勝ち取った勝利のほうが、個人的には、美しいと思う。
ぜひ、そういう面からも、見てほしいと思った。


個人的な予想を言わせてもらえれば、
あのまま、山井投手が投げていたら、なんとなく逆転されていた可能性が高かったのでは思う。
そして、シリーズの流れが変って・・・。


もし、そうなっていたら、周囲はどう反応しただろう?
そう考えれば、勇気を持って決断できたことを、
そして、結果を出したことを、もっとたたえるべきだと思うのは、うがった考え方か?



そういえば、今年のオールスターゲームの第1戦、
セリーグの投手陣は、あの時も、9回を9人の投手でつないで、1回の内野安打1本と、デッドボール1個のみに抑えたが・・・。
もし、あれが、もし、1回にヒットが出てなくて、ノーヒットノーランがかかっていたら、
もし、ヒットが、1回でなく、9回だったとしたら、
回が進むごとに、投げるピッチャーは、すごいプレッシャーに苦しんだことだろう。
その中で投げることを、想像できるだろうか?


考えてみれば、あれも、落合監督の采配、いや演出だった。
落合監督は、稀に見る、名勝負師であり、名演出家なのかもしれない。


来年は、どんな演出を見せてくれるのだろうか。